終業式が終わったのは、あれから1時間ほど経ってからだった。
次々に教室に戻る生徒に並び、ザワザワと騒がしくなった体育館を後にした。


「俺もうダメ…」


教室について早々、高橋が机に突っ伏した。


『大袈裟な』


頬杖をつき窓を眺めながら呟くと、それが聞こえたのか脇腹を小突かれた。


『っ!!…なに?』


振り向くと、しかめっ面であっかんべーをする高橋がいた。


『…子供みたい』


「お前ってさ、サラッと毒吐くのな」


『そうなの?』


「結構怖いから。止めろよそれ」


苦笑する高橋の言葉をただ聞いてた。意外と自分の事は気づけないから、たまにこういう事を言われると、つい投げやりな返事をしてしまう。
 そんな事をしていると、少しお疲れ様モードの先生が入ってきた。


「校長の長話にお付き合いくださり、お疲れ様でした!!」


教壇に立って言った一言がそれだった。
一瞬教室中の生徒の頭に“点点点”が見えた。そしてドッと笑いが起きた。


「先生ウケる!」


「先生もお疲れ!!」


そんな事が合ったからか、みんな大人しく話を訊いていた。


「──以上だ。気をつけて帰れよ!?」


チャイムが鳴る5分前にすべてを話し終えた先生が教室を出ると、爆発したかのように一気に賑やかになった。