あれから何らか変わらぬ日々を過ごし、夏休み前の教室はいつも以上にソワソワしていた。
 みんな夏休みが楽しみなんだ。頬杖をつき1人悪態をついてると、綾がやって来た。


「いよいよだねぇ」


『うん』


「残念そうだね?」


『なにが?』


「何がって、緒方に毎日会えなくなるのがに決まってる」


仁を見ながら笑みを浮かべる綾に、口を尖らせ俯いた。


『…です。』


「ん?」


聞こえなかったのか、近づく綾の耳元で『あたりまえです!』と言った。


「なにそれー!!」


いきなり声を上げ、ギュッと抱きついてくる綾に、ビックリして倒れそうになり必死に声を出した。


『綾、苦しい…!』


「あっ、ごめん!!かわいいかったからつい」


笑って離れる綾は、ずっとニヤついてた。


「緒方のものになるなんて勿体無い!!」


本気でそう思ってるのか、目がマジでちょっと怖い。


『綾、本当は男だったりして?』


「バレた?ってんなわけないでしょ!!」


それに笑ってると、不意に優しい顔になり「元気でた?」と言った。


『うん、ありがとう』


その後、綾はチャイムと共に去っていった。
そして、長くて少しだけ短い一日が幕を開けた。
 教室で注意事項等を聞き、体育館に移動して、二回目の注意事項と校長長話を聞かされた。