ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

 今日最後の授業が終わり、一段と騒々しくなる教室を抜け部室に向かった。


「いつも同じ時間帯に来るのな?」


部室に入って早々水樹にそんな事を言われた。


「いっつも良い場面が終わってから入ってくんだよ、見計らったように!!」


笑いながら漫画の中身を見せてくるそれを覗くと、確かに終わりに近かった。


「なっ?!」


『うん』


楽しそうに目をキラキラさせながら、再び漫画に目を戻した。繭乃くんは写真を撮りに行ってるのか、暗室に姿はなく、写真だけが干してあった。
 相変わらず、私のツボをついつくる写真ばかり撮る繭乃くんのカメラは、まだ同じ物らしい。
ガラスに反射したような傷が、前と同じ場所に残ってる。


「いつ見てもいい写真だろ?」


その声に振り向くと、珍しく写真を眺める水樹がいた。


「俺が同じ条件で撮っても、楓と同じ写真は撮れない気がする、ってか無理だろうなぁ」


『……私も思う。繭乃くんの写真は真似できないし、真似しちゃいけない気がする』


「うん」


暫く写真を見たあと、それぞれが別の事をしていた。水樹は読みかけの漫画を読み、私は本棚から、たくさんあるうちの一冊を取り出し気になった部分だけを読んだ。