ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ？

　ぬるい風が吹く校庭を横切り、桜の木に向かうと気持ちよさそうに昼寝をする仁の隣に座った。


「来てたのか……」


『うん』


寝ぼけ眼で喋る仁は、再び目を閉じた。
　桜の下で２人になるのはいつ振りだろう？三人が当たり前過ぎて、こんな時どうすればいいか迷う。


「そういえば、中村は？」


『さあ？まだ来てないみたいだけど、教室にいるのかな？』


「そう」


目を閉じたまま話す仁を見つめていると、時々夢の中にいるんじゃないかと思ってしまう。
　ゆっくりと目が開いてそのまま逸らすことも出来ずに固まっていると、フッと空気が変わって、柔らかい日差しが私を包む。現実に戻るのは簡単なのに、この夢の続きの見方がわからない……


「大丈夫か？」


『あ、ごめん』


「お前、他で今のすんなよ？マジでどんなめに遭っても知らねえぞ？」


『うん……』


現実に引き戻され呼吸を整え、コッソリため息を吐いた。


「それにしても、遅いな」