ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

 お昼になり、慌ただしい教室をすぐに出たからか、高橋に話しかけられずに済んだ。


『ハァー…』


階段まで来た所で後ろを振り返り、誰も付いてこないのを確かめると、漸く肩の荷が下りた気がした。


『気持ち悪いほど変な日……』


「桜庭!」


独り言の最中名前を呼ばれ、振り返ると笑顔の水樹が手を振っていた。


『どうしたの?』


「こっちに曲がるのが見えたから、追いかけてきた。あんまり独り言とか言わない方がいいよ?、危ない人になるから」


『今度から気を付けるようにするよ……』


「うん」


『あ、綾ならまだ教室にいると思うけど?』


「うん。そういえば、緒方は?」


『え?』


「俺、なんか変な事言った?」


『いや、緒方って言うから。柚樹はさん付けなのに、水樹はそのままなんだなぁって』


「緒方でいい、って本人に言われたから」


『そうなんだ。なんか、変な感じ』


「そう?」


『うん、すごく不思議』


「でさ、緒方は?」


『仁なら校庭にいると思うけど』


「そっか」


なにが聞きたかったのか、その後階段まで一緒に来ると下りずに「じゃあ、綾迎えに行かなきゃ」と手を振り別れ、校庭に向かった。