結局、泊まりがけでの話は保留になった。
 そしてあっという間に七夕になり、街は装いを変えた。
子供達は短冊に願いを書き、大人達は昔の神話や思い出を昔話の1つとして話していた。
 その日の帰り道、話は自然と七夕の話になっていった。


『天の川見れると思う?』


そう問いかけると、「晴れたら見れんじゃねぇの?」と空に目を向けた。


『見れるといいなぁ…』


そう呟き空を仰いだ。
 ──その日の夜、ふと思いだし部屋のベランダから空を見上げると、何万億個の星の川が空を流れていた。


『綺麗……』


ため息に似た声が漏れしばらく眺めてると、部屋の方から曲が聞こえ、真っ暗な部屋の中、机の上で光るケータイを掴み再びベランダに出た。


『誰だろう?』


ケータイを開くと“新着メール一件”の表示が出ていた。


『仁だ…!』


驚きながら本文に目を通すと、【天の川出てるぞ!!】と少し興奮気味のメールに【今、見てるよ!】と送信した。


『仁も見てるんだ……』


そう思ったら嬉しくて、胸の奥がキュンとした。
今見ている天の川が愛おしくて、声も姿も見えないけれど、繋がってるんだって思えた。
 その後仁から【たまたま、窓の外見たら見えたんだけど、キレイだな。】とメールが来た。