「さっきの写真」


『うん?』


別れる間際仁が口を開いた。


「お前が撮った写真」


『うん』


「俺は好きだよ、お前らしくていいとおもう」


笑顔で、でも照れながらそう言ってくれた。


「すぐ伝えようと思ったんだど、なんか上手く言えそうに無かったから……」


言葉が出なかった。嬉しすぎて鼻の奥がツンとして、首を振るのが精一杯だった。そして、仁に負けないくらいの笑顔で『ありがとう』と言った。


「ん、じゃあ…!」


『じゃあ!!』


いつもの挨拶を交わし、仁を見送った後の足取りは、今までで一番軽かった。今なら、すべてが上手く行きそうな気がして、今じゃなきゃダメな気がした。


『ただいま』


帰って真っ先におばあちゃんの姿を探した。
居間を抜け台所へ入ると、晩ご飯の支度をする、割烹着姿のおばあちゃんを見つけ駆け寄った。


『おばあちゃん!』


「おかえり」


『あのさ、お母さんっていつ頃帰るかな?』


「さあ?葉瑠が寝た頃に帰って来るから……だいたい12時過ぎかな?」


『そっか』


「用があるなら、明日聞いてみたら?休みみたいだから」