ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

 あっという間に放課後になり、一人部室へ向かっていた。
 ドアを開けると唐突繭乃くんと目があった。


「桜庭さん?」


『あ、現像?』


そう声を掛けながら、横目でソファーを見遣ると、漫画を読む水樹くんの姿があった。来てたんだ。


「なにかあったら声を掛けてください。まあ、何も起きないと思いますけど」


そう言い残し、自分の世界へ入って行った。
 急に静かになった部屋には、ページを捲る音と、椅子を引いた音が変に響いた。
 水樹くんに話しかけようか迷っていると、いきなり「金魚みたい」と言われた。


『金魚?』


「さっきからパクパクパクパク、何かした?」


『なにも無いけど……』