ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

 校庭に出ると、お昼そっちのけでサッカーをしている生徒を見つけ、いつかの光景がフラッシュバックした。


「怖い?」


足を止めた私に柚樹が場所を変わってくれた。
 その場から離れ気分も落ち着いた頃には、桜の木が目の前に見えていた。


「あれ、緒方さんがいる」


その言葉に目を凝らすも、仁らしき人は居なかった。


『あれ違くない?だって、私達より教室でるの後だったはずだし』


「……じゃあ、誰?」


顔を見合わせ、小首を傾げていると背後から誰かが、近寄ってくる足音がした。


「なにしてんの?」


『あぁ、仁』


「緒方さん、あの人知ってますか?」


柚樹の質問に、怪訝な顔で桜の木を凝視する仁の言葉を待った。


「誰あれ?」


とりあえず近づくと、その人は良く知っている人物だった。


「……水樹?なにしてるんだろう?」


一人駆け寄る柚樹の背中を、足を止め見ていた。


『どうする?』


「なにが?」


『行っても大丈夫なのかな?』


「さあ…でも、行くしかねぇだろ」


先を歩く仁の後を付いていくと、なにやら揉めてるらしかった。


『ゆず?』


声を掛けようか迷った末、声を掛けた。振り向いた柚樹は、「すいません」と謝った。