ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

『怒らせちゃったかな…?』


空のペットボトルとゴミが入った軽い袋の口をキュッと縛り、教室内のゴミ箱に捨てた。


『はあ…』


席に座り二度目のため息を吐くと、綾が「どうしたの?」と近づいてきた。


『仁の事怒らせちゃった。』


机の一点を焦げるんじゃないかって程見つめながら、ボソボソ独り言のように呟いた。


『目も合わせてくれなかったし…』


「前髪長くて見えないじゃん!」


『じゃあ、の一言も無かったし。』


「じゃあって言うんだ…」


『今日はまっすぐ帰ろっかな…』


「あ、暇ならカラオケ行かない?」


『うん、いいよ。…仁ってカラオケ行くのかな?』


「また、ダサカレの話し…ダメだ、今日の葉瑠魂抜けてる。」


頭上を見ながら、ボソッと呟く綾の声が聞こえたハズなのに、仁の事で頭がいっぱいでそれ以上の会話が出来なかった。