ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

いつも聞こえる鳥の鳴き声や、忙しい靴の音が遮断され、違う世界に来たみたいでなんだか楽しかった。
 だんだん人通りが多くなり、イヤホンを外し、曲も止めた。


「おはよっ!」


急に肩を叩かれ、驚く間もなく綾が顔を出した。


『おはよう』


「元気無いけど大丈夫?」


『うん』


「それならいいんだけど……」


 ちゃんとした会話も無いまま学校に着くと、満面の笑みを浮かべた双子に会った。


「葉瑠、おはよう!」


最初に声をかけてきたのは柚樹だった。


『おはよう』


それに精一杯の笑を返し、靴を履き替えた。


「どうした?」


何を察したのか、今度は水樹くんに話しかけられ、目を伏せたまま答えた。


『なんでもない。ちょっと寝不足なだけだから、心配しないで?』


本当の事を言っても迷惑掛けるだけだし、やっぱりはずかしい。


「保健室、行かない?」


『え?』


何を思ったのか、柚樹にそんな事を言われた。


「元気ないみたいだし、保健室で休んでたら?
そのほうが安心して授業受けられるし」


『ありがとう。でも、本当に大丈夫だから』


そう微笑むと口を尖らせ、浮かない表情を見せた。ごめんね柚樹。