ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「普通に授業を受け、普通に柚樹の友達と名乗る3人と言葉を交わした。」


そう話す水樹くんの声は怖いほど冷静だった。


「そして、その時が来た。放課後、誰も来ないトイレに連れて行かれた時、なにをされるのか悟った。
怯えたフリしたらバカみたいな顔して笑ってた。
そのあとは桜庭でも分かるよな?」


『うん……』


「その時の俺は、きっと悪魔のような顔をしてただろうな。どうしたら同じ痛み以上の苦しみを与えてやれるだろうか?その時の僕は、仕返しをする事で頭が一杯だった。」


そう話す目には、怒りが宿っていた。誰かを守るって、人をこんなにも変えてしまうんだと思った。


「次の日、俺は行動に移した。柚樹のクラスの女子とアドレスを交換し、3人のどんな些細な事でも構わないから教えて欲しいと頼んだ。その頃から俺は三年生の教室に行くようになった。
あるキッカケで知り合った、高橋先輩の家庭教師として。」


『家庭教師?三年の勉強を教えてたの?』


「そう、教えてた。まだ頭が良かったから」