ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「桜庭にも聞いてて欲しい」


『でも』


「ちゃんと見届けろよ、それがお前のもう一つの役目なんだから」


『……分かった』


ドアを閉めまた深呼吸をして振り向いた。
水樹くんがマンガをどけた瞬間、柚樹の顔つきが変わった。


「久しぶり」


起き上がった水樹くんを見て、柚樹が私に目を向けた。


「葉瑠、嘘ついたの?」


『ごめんなさい』


「こうでもしないと会わないと思った?」


『ごめん』


悲しい瞳を見ていられなくて、目を伏せた。


『でも、今しかないんじゃないかな?柚樹が素直になれば、大好きな人をもっと好きになれる……かも?』


「素直に……」


目を伏せる柚樹、今度は水樹くんが話しかけた。


「ちゃんと話がしたかった。あの日の事を許してもらおうとは思ってないけど、もう一度兄弟に戻りたい」


「知ってたよ」


顔を上げるとまっすぐ私を見て、笑った。