ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

放課後になっても騒がしい教室を見渡し、柚樹との待ち合わせ場所へ向かった


『大丈夫、大丈夫』


何度も呟きながら、階段を下りた。


「葉瑠!」


一階に降りると、すでに柚樹が待っていた。


『行こうか?!』


「うん」


余計な会話はせず、写真部がある廊下を歩いた。
 ドクッ…ドクッ…一歩踏み出す度に心臓が鳴った。バレないで。ただそれだけを願いながら歩いていると、写真部の方から繭乃くんが近づいてきた。


『……っ!!』


名前を呼びそうになり口を噤んだ。目を合わせ、何も言わずすれ違った時、変な感じがした。
水樹くんもういるんだ……。


「こんな場所にあるの?」


『うん』


突然の声に肩がビクついた。後少し、大丈夫、大丈夫。
 ドアの前で立ち止まると、深呼吸をした。


「ここ?」


『うん』


ドア手を掛けると、一気に引いた。


『入って?』


「うん」


戸惑う柚樹は、室内を見渡しながら足を踏み入れた。それを見届けるとなにも言わずに部室を出ようとした。


「桜庭」


不意に呼ばれた名前に、足が止まった。