それからどのくらい経ったのか、静かな室内にページを捲る音だけが響いていた。
「……僕は兄ちゃんみたいにはならない」
『えっ?』
「そんな兄ちゃん大嫌いだ!!」
突然セリフのような事を言い始める水樹くんに、困惑しながら目線を上げると、水樹くんが横目で私を見ていた。
「柚樹が俺に言った言葉。 数時間違いの弟に、自分の分身みたいな奴に、そんな事言わせた俺ってどうよ?」
その顔には一切の笑みがなかった。
「ごめん、変な事言った。今の忘れて」
『……聞かなかった事にします。けど、話しだけならいつでも聞きますから』
相手の目をまっすぐ見たまま、軽く笑顔を向けた。水樹くんは驚き、小さな笑みを返してくれた。
そして再び室内に長い沈黙が続き、その日は水樹くんからの話を聞くことは無かった。帰り際に言われた「ありがとう」が少しだけくすぐったかった。
「……僕は兄ちゃんみたいにはならない」
『えっ?』
「そんな兄ちゃん大嫌いだ!!」
突然セリフのような事を言い始める水樹くんに、困惑しながら目線を上げると、水樹くんが横目で私を見ていた。
「柚樹が俺に言った言葉。 数時間違いの弟に、自分の分身みたいな奴に、そんな事言わせた俺ってどうよ?」
その顔には一切の笑みがなかった。
「ごめん、変な事言った。今の忘れて」
『……聞かなかった事にします。けど、話しだけならいつでも聞きますから』
相手の目をまっすぐ見たまま、軽く笑顔を向けた。水樹くんは驚き、小さな笑みを返してくれた。
そして再び室内に長い沈黙が続き、その日は水樹くんからの話を聞くことは無かった。帰り際に言われた「ありがとう」が少しだけくすぐったかった。


