ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

 その日の帰り道、仁の背中を見ながらふとこれでも一緒に帰る内に入るのかな?と思った。


「なぁ、いつまでそこにいんだよ」


振り向きもせず言った言葉に足が止まった。
そしてまた何も話せなくなった。


「オイッ!」


強くなる声に我に返ると、仁がこっちを向いていた。


「もう誰も見てないし、隣にいろよ。後ろだと、何かあったときあれだし……』


『はい』


そう返事をしたはいいけど、まったく足が動かない。仁は私が来るのを待ってるのに、今すぐ隣に走って行きたいのに、嬉しすぎてなんだか視界まで霞んできた。


「俺の隣歩くの、嫌か?」


『嫌じゃない!』


思い切り頭を振った。
嫌なわけがない。
私、今どんな顔してるんだろう?


「よかった」


フワッと柔らかい風が吹き、顔を上げると仁が微笑んでいた。
 しばらく放心状態のままだった私は、手を引かれる反動で我に返った。
仁の手が不自然に私の手を掴むそれをボーっと見つめてると、再び強く引かれた。


「お前、今日変だぞ?」


仁のせいだよ。なんて言えないから、『そう?』と言ってごまかした。
今、隣には仁がいて、離すタイミングを失った手が次のタイミングを計っていた。