ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「そんなによく言ってくれて、ありがとう」


「よかったじゃん」


「あれ、まだ居たんですか?とっくに帰ったと思っていたのに」


どこからか聞こえた声に、繭乃くんがめんどくさそうにそう言った。


「いちゃ悪いのかよ」


「悪くはないですけど」


「いいじゃん、お前とそこの新入りしか来ないんだから」


「まぁ、確かにそうですけど」


「大丈夫だよ、コレ読み終わったら帰るから!」


「どうして写真部に入部したんですか?写真撮るって言ったから許可したのに」


「撮ってるよ!?ケータイで」


その返しに思わず『ああ!!』と手を合わせた、それを見た繭乃くんは私を見てため息を吐いた。


「僕、先生に呼ばれてるのでちょっと席はずしますね。桜庭さんは用が終わったら帰って大丈夫ですから」


『はい。いってらっしゃい!』


「いってきます」


繭乃くんを見送ると、読みかけの本に目を通した。


『……あの』


「なに?」


本を読んでる途中、繭乃くんとのやりとりが気になり、漫画の向こうの部員に話し掛けた。


『繭乃くんって、いつもあんな口調なんですか?』