ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

『見せてもらってもいい?』


「どうぞ。これは、桜庭さんが初めて写真部に来たときに現像した写真です」


読んでた本のページよりも、どんな写真を撮ったのかが気になり、本をテーブルに置くと繭乃くんの説明を聞きながら、一枚一枚じっくり眺めた。
 柔らかい日差しの下、猫が塀の上で昼寝をしてる写真や、学校帰りなのか、ランドセル姿の子供が笑顔でカメラに向かってピースをする写真。他にも自然に笑顔になるような写真がたくさんあった。


 そしてその写真の同じ場所に、同じ傷が印のように刻まれていた。
被写体をきれいに避け、存在を主張するこの傷が繭乃くんはあまり好きじゃないらしい。


『ありがとう』


写真を繭乃くんに返した。


「やっぱり、傷が気になりますね……」


『被写体をうまく避けてはいるけど、やっぱり目立つね』


「ですよね……」


『でも、気にすることないと思う。いい写真だし傷も気にならないし。私もそんな風に撮りたい……』