ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「初めてサボった。」


『私は、多分二回目?かな』


「意外と暇なんだね?サボるって」


『ふふっ…うん』


柚樹らしい感想に、つい笑ってしまった。


「でも、一度サボってみたかったから、アイツに感謝しないと」


小さく微笑む柚樹は、遠くを眺めていた。時々吹く風がスカートをなびかせ、柚樹の前髪を揺らした。


「葉瑠、水樹には今日の事言わないで。知られたくない」


『うん、わかった』


兄弟なのに嫌いにならなきゃいけない理由があるなんて、せっかく家族になれたのに……
手すりに両手を投げ出し、顎を乗せ2人無言のままで、気づいたら授業終了を知らせるチャイムが鳴り響いていた。
 自然と下に目が行き、そのまま何となく見てると、暫くしてポツリポツリと人が出てきた。
家に帰る人、部活に出る人、それを応援する人──


『行こっか?』


「うん」


教室が落ち着いたであろう頃に、屋上を出た。
教室までの階段や廊下を歩く間、柚樹は一言も喋らなかった────


「じゃあ、僕こっちだから」


私を見送る柚樹は、少し居心地が悪そうだった。


「今日は、色々ごめんね?それと、付き合ってくれてありがとう」


『うん、また明日ね』


「また、明日」


ぎこちない挨拶を交わし、自分も教室に向かった。