『私にはお兄さんがいないから柚樹の気持ちは分からないけど、家の近所に仲がいいお姉ちゃんがいてね、その人は色んな国を旅するのが好きで、帰って来る度どんな旅だったかを聞かせてくれたの』
突然そんな話しをしたからか、申し訳なさげに「迷惑かけてごめんね?」と言った。
『いいよ』
「その人は今どうしてるの?」
『私の知らない国で恋をして、幸せに暮らしてる。それっきり手紙もこなくなっちゃった』
「そうなんだ」
だんだん落ち着きを取り戻してきた柚樹の顔にはいつもの笑顔が浮かんでた。
『このドア開くかな?』
ボソッと呟いた言葉に、柚樹と2人顔を見合わせた。立ちあがりドアノブに手をかけゆっくり捻ると、意外にもすんなりと開いてしまった。
『──この高校選んで良かった』
屋上のフェンス越しに景色を見ながらそう呟いた。隣では柚樹が鼻を啜っていた。いつ泣いたのか、頬には拭いきれなかった涙の筋が不自然に途切れていた。
突然そんな話しをしたからか、申し訳なさげに「迷惑かけてごめんね?」と言った。
『いいよ』
「その人は今どうしてるの?」
『私の知らない国で恋をして、幸せに暮らしてる。それっきり手紙もこなくなっちゃった』
「そうなんだ」
だんだん落ち着きを取り戻してきた柚樹の顔にはいつもの笑顔が浮かんでた。
『このドア開くかな?』
ボソッと呟いた言葉に、柚樹と2人顔を見合わせた。立ちあがりドアノブに手をかけゆっくり捻ると、意外にもすんなりと開いてしまった。
『──この高校選んで良かった』
屋上のフェンス越しに景色を見ながらそう呟いた。隣では柚樹が鼻を啜っていた。いつ泣いたのか、頬には拭いきれなかった涙の筋が不自然に途切れていた。


