「そっか、わかった」


『うん』


「しかたないよな」


その言葉は、仁自身に言ったようにも聞こえた。
それが何なのか聞き返すと、それまでにこやかだった顔が真剣になり、時々ぶつかる視線を宙に漂わせながら、一度閉じた口を再び開いた。


「写真部の用が終わったら真っ直ぐ教室来いよ」


『なんで?』


その返答にため息を吐くと、めんどくさそうに答えてくれた。


「一緒に帰るからに決まってんだろ。時間的にも遅くなるし、夜道は危ないから……」


そう言われてからの記憶が全くなく、気づいたら自分の部屋にいた。
ベッドに座ったままどのくらいそうしていたのか、外は薄暗く色のない雲がグレーに染まり風に流されてた。


『私、ちゃんと返事したのかな?』