暗室の中を気にしながら、私を中に通してくれた。
「光が入らないよう、ちゃんと締めてください」
暗室の中は意外にも広く、ドラマで見たような赤い照明の中、たくさんのモノクロ写真が洗濯物のように吊されてた。
どれも繭乃くんが撮ったものだろう事は、聞かなくても察しがついた。
部員はめったに来ないし、漫画を読むあの人が使うとも思えない。
「あと二枚で終わりますから」
そう言いながら、トングで液体の入ったバットの中にある紙を揺らすと、次々に紙を移動させては浸けを繰り返していた。
『繭乃くんのカメラ、レンズに傷があるんですか?』
「やっぱり、わかりますか?僕の不注意でレンズに小さな傷をつけてしまったんです。カメラとしてはもうダメなんですけど、なんか捨てられないっていうか……このカメラがいいんです」
『私はいいと思います』
「本当ですか?」
『傷が付いた写真を見れば繭乃くんのだってすぐわかるし、繭乃くんの撮る写真見ると笑顔になれるから』
「……そんな風に言ってくれたの、桜庭さんで2人目です」
「光が入らないよう、ちゃんと締めてください」
暗室の中は意外にも広く、ドラマで見たような赤い照明の中、たくさんのモノクロ写真が洗濯物のように吊されてた。
どれも繭乃くんが撮ったものだろう事は、聞かなくても察しがついた。
部員はめったに来ないし、漫画を読むあの人が使うとも思えない。
「あと二枚で終わりますから」
そう言いながら、トングで液体の入ったバットの中にある紙を揺らすと、次々に紙を移動させては浸けを繰り返していた。
『繭乃くんのカメラ、レンズに傷があるんですか?』
「やっぱり、わかりますか?僕の不注意でレンズに小さな傷をつけてしまったんです。カメラとしてはもうダメなんですけど、なんか捨てられないっていうか……このカメラがいいんです」
『私はいいと思います』
「本当ですか?」
『傷が付いた写真を見れば繭乃くんのだってすぐわかるし、繭乃くんの撮る写真見ると笑顔になれるから』
「……そんな風に言ってくれたの、桜庭さんで2人目です」


