ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

『なにこれ……ウォンバット?』


「フフッ…」


『ブタみたい、でもちょっと違うかな?』


「ブタ…ウォンバット、ウォンバット科のカンガルー目」


『え?』


振り返ると、漫画で顔を隠したまま説明する声が続いていた。


「コアラにも似てる動物で主に穴を掘って生活してる生き物。主な生息地はオーストラリアなど……」


『詳しいんですね?』


「その本棚にある本は全部読んだから、記憶は確かだと思うよ?」


『これ、全部?』


本棚を見上げ、ため息が漏れた。


「それより、痺れない?足」


『ああ、慣れてますから』


「正座ってなれるもんなの?」


『そう、みたいですね』


「そうみたいって……」


淡々と答える私に苦笑する相手は、未だに漫画で顔を隠したままだった。


「変わってるってよく言われるだろ?」


『はい。その質問にもだいぶなれました』


「あ、一つ質問」


『はい』


「変わり者って言われる気分ってどんな感じ?」


『どんな?別に普通ですよ?他人の目に変わり者に映ってるってだけですから。自分では今も普通だと思ってるし、誰に何を言われようと変えるつもりもないですし』