「蜜、ご飯だよ」


「うぅ…うん」


眠い目を擦り伸びをする。


僕を見てにこりと笑う君。


「文香、おはよ」


「蜜は今日お出かけするのかな?」


小首を傾げる愛おしい人。


「いや、家でパソコンかゲームしてるね」


「はい(笑)」


親はいないのかって?


親はいたんだけどね。


お父さんは事故死。


お母さんは過労死。


おばあちゃんとおぢいちゃん家に行ったけど…


僕を食わすのはこの先大変だと思って嘘をついた。


『僕ね、友達の家族が預かってくれるって…』


とだけ電話越しに伝えただけだ。


そんなあてもないのにフラフラ夜道を歩いていた時…


文香に会った。


『な、なんですか?』


なぁんて言われたっけ…(笑)


その日は雨で僕は雨に打たれ泥だらけの衣服で動き回ってた。


文香は何かを察してか僕の手を引き自分のマンションの浴槽に連れて行った。