電話を切ると、北野森は、

「あの指輪……、ひょっとしたら、二人は付き合っていたんじゃないんですか?」
「そうかもしれませんね」
「ただ、奥さんと結婚することになって、別れた」
「もしくは結婚していたのを隠していたか、邪魔になったか」

当時の警察は、佐藤という名前があがってこなかったから、それ以上調べなかったのだろう。

「指紋が出てきても、これ以上どうしようもないよ」
「……そうですね……」

どんな理由があれ、人を殺していいわけがない。