町の住民は、供養をしても、御祓いをしても、町から出ていかない彼女と共存する道を選んだ。

スーパーの店員、ファミリーレストラン、弁当屋、仕出し屋には指導を徹底し、木造アパートには、誘われても上がりこまないように。



命が惜しければ。
自分がハンバーグにされたくなければ。


「でも……カメラに映るし……。それに幽霊が昼間から」
「そうだな……。でも、いるんだ。彼女は……」

ハンバーグを作りたくて、ウズウズしてる。
彼女の気が済むまで。
町でお買い物を続けるだろう。

「穂高は、研修さえ受けていれば、死なずに済んだ。幽霊にひき肉とパン粉とたまねぎを売って多少損が出ても、家まで行く必要はなかったんだ」
「……」