王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-





【刻読みの民】とは、過去から未来まで、時間を越えて物事を見通す力を持った種族。

その力と引き換えに、彼らは皆盲目で身体も弱かったという。


政治や戦の影には必ず彼らの力が利用されてきた。

彼らはその力故に、権力者によって集められ、ほぼ監禁状態にあったらしい。



そんな中、歴史にも残る程疫病の流行った年があった。

権力者達は、細心の注意を払い彼らを保護しようとしたが、報われることはなかった。


彼らが余りにも弱かったのか、疫病の勢力が強過ぎたのか…。

もしかしたら、飼われることに嫌気が差し、死を望んでいたのかもしれない。



それとも…本当は【刻読みの民】など元々存在しなく、人々の望む空想の産物だった?


今更確める術も無い。
唯一言えるのは、文献には確かに彼らが存在しているということだけである。