飲み始めて二時間程が経った。

飲んだ酒の量も種類も半端無い。
ビールから始まり、ウィスキーにブランデー、ウォッカにジン。
様々な果実酒にワインも飲んだ。

そこかしこにボトルが転がっている。
その大半がドルメックによって消費された。

トールも弱い訳では無いが、流石にここまでくると付き合い切れたもんじゃない。


様々な話を酒の肴にしたが、そろそろ頭が回らなくなってきた。

記憶を無くす程ではないにしろ、そろそろ酔いを覚ました方がよさそうだ。


「…なぁ。
なんか話のネタはないのかよ?」


ドルメックが頬杖をついてトールに視線を向ける。
アルコールの回っている様子だ。

明日にはきっと、所々記憶が抜け落ちていることだろう。
そう思い、話のネタを決めた。


「…ん〜、そうですねぇ〜。

では、数十年前に滅びたとされる特殊な種族のお話でもしましょうか?」