王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-




何となく、皮肉っぽくなってしまった。
バツの悪そうな苦笑を浮かべる。


対するドルメックは気にする様子もなく答えた。


「いや、これだけは絶対的な自信を持って言える。

俺は絶対に[民の雫]だけは間違えない」


「成程〜。面白い話を聞かせて頂きました〜。

…ところで、ちょっとお手洗いに行ってきていいですかね?」


そう断り、フラフラした足取りで目的地へと向かった。

用を済ませ、手を洗う。

目の前の鏡には真っ赤な顔をした糸目の男の姿が映っている。

(やっぱり飲み過ぎましたねぇ〜。
聞いた情報を処理出来ないなんて…。

明日改めて、情報を洗い直さなくてはいけませんねぇ…)


先程の話の中で、確かに引っ掛かるものがトールにはあった。

情報屋の勘が働いているのに、考えが纏まらない。


「取り敢えずは、酔いを覚ましてまた明日。ですかねぇ〜?」


鏡の中の自分に呟いた。