皮肉な笑みを浮かべ、空いたグラスをカウンターに置く。
「だから、魔石としての価値は全く無いっていうことなのさ」
だいぶ酔いが回っているようだ。
ドルメックの目が据わっている。
「だからさ、魔石は天然物と人工的な物と[民の雫]の三種類あるんだよ。
天然物と人工的な物を見分けるのは難しいけど、[民の雫]かそれ以外かを見分けるのは楽なんだ」
こちらにはお構いなしにどんどん捲し立てている。
「魔力を引き出せるか出せないか。
それだけ確かめればいいんだからな。
俺は、絶対に[民の雫]だけは見分けられるんだ」
トールは、なんだか妙な違和感を感じていた。
しかし、自分も酔いが回り始め、思考が纏まらない。
そろそろ限界のようだ。
「流石に専門でお仕事している人は詳しいですねぇ〜。知りませんでしたよ〜。
でも、ダンナはたまに魔力の籠ってない品物を盗ってきちゃったりしますからね〜、ホントに見分けられるんですかぁ〜?」

