『来んな!!!』

俺は実験机の上に乗っけられていた椅子を持ち上げ、柏倉に向けて投げつけた。

すると左足に当たり、ゴツ、と鈍い骨の音がした。


が、奴は少しもひるむ事なく突き進んできた。

『おい待て、ふざけんなっ…て!!』

俺は残りの椅子を不規則に並べ、自分の前に小さなバリケードを作った。

『こ、来ないでよ…』

上沢はなるべく柏倉の無惨な顔を見ないように、俺の後ろに隠れている。

中島は、未だ鍵穴まで必死に腕を伸ばしていた。

ドアに血が垂れている。



『なんだ…こんなもの!!!』

ガン、と、柏倉は自分の侵入を阻止する椅子を蹴り飛ばした。

『く…そっ…!!』

柏倉を遮るものが、なくなってしまった…





鍵が開かない限り





もうここは





袋の ネズミ……




『死、ね』

柏倉が俺の肩を掴み、静かに笑った。