『ほら、早く殺せばいい』

『…な、に言って…』

奴の言葉で、俺はさらに動揺した。

さっきまで上沢に腹を刺され彼女を殺そうとしていたくせに…

なんで態度が急変した?

ましてや自分を"殺せ"なんて…

『私が憎いのだろう?友達を奪った私が』

手汗がじわりとにじんできた。

奴が話すたびに、俺の心は掻き乱されていく。

『私を生かしておけば、被害は拡大する』

『なら、今のお前は何をするべきか…?』



『簡単だ。私を殺せばいい』

柏倉は不気味な笑みを浮かべる。



ふと、思い出した。

HRの最初に言った斉木の言葉を。


《お前らが生き残れば勝ち、全滅したら俺らの勝ち》


ずっと疑問に思っていた。

"生き残る"ということは、狂っちまった先生達から逃げ切ることだ。

でも、恐らく無制限と思われるこのHR中に、いくら逃げたとしても"先生が存在する限り"俺らの勝利なんて見えてこない。


なら、どうすればいいか?

それが今、ハッキリした。



俺達が生き残る為には


"教師達を殺すしかない"


ということを―…