ドアが独りでに開いた。

その向こうには…



背を向け

何かに取り組む

柏倉 真生の姿があった…


『…柏、倉…』

中島の声に、柏倉は振り向いた。

『いけない、立て付けが悪いなぁ…また開いてしまったか』

不気味な笑み、声、顔は、いつもと変わらない。

だが一つだけ違うのは

何着持っているのか分からない真っ白な白衣が、紅く染まっているという事だった。

『…っ!!!』

その時

俺らは気付いてしまったんだ。

柏倉の目の前の机に横たわっているのは…




血だらけの、変わり果てた人の姿だという事を。


『…きゃあぁあぁあぁあぁ!!!!!!』

上沢が絶叫した。

『……ありえねぇ…』

服はズタズタに裂かれていて、胸から腹にかけて、大きく刃物か何かでぱっくりと開かれている。

グチャグチャとした人間の"中身"が、大量の血と共に生々しくあらわにされた。

柏倉はそんな死体を前に、恍惚の表情を浮かべている。

『屍体はイイ…何一つ文句を言わない…』

そんな柏倉に、ぞくりと悪寒を感じる。

顔は見えないが、服装を確認すると、どうやら女子生徒らしい。

柏倉はその生徒の髪を撫でた。

『生意気な生き人(びと)達とは違ってね…ねぇ?麻里?』

『!!!!!!』

俺らは、その名に異常なほど反応した。