はぁっ…はぁっ…



校内を無我夢中に走り回って1分は経ったか。

さすがに息が切れてきた。


現在地、3階南棟。

俺と一緒に逃げて来たのは、クラス内でも特に仲の良い二人

坊主頭の野球少年中島涼介と、茶髪のショートヘア、上沢彩。

彼女は、俺らの少し後ろを、置いてかれないように懸命に走りながら言った。


『ねぇ…どっかさ…隠れた方がよくない!?』


『え!?』


『確かにそれいいかも…』


中島もそれに同意した。

…にしてもさすが野球少年。

入部して約2ヵ月とはいえ

日々の練習が生かされているのか、息は大して乱れていない。


『でも変に隠れてもし見つかって袋小路になったらどうすんだよっ!!』


『こうやって…走り回ってるよりは…いいと思うっ…!!』


『うん…俺もそう思うけど、どうする安藤?』


俺は二人の意見に対し少し考えた後、頷いた。


『わかった…じゃあどこに…』


俺達は西棟にさしかかった。

南もそうだったが、廊下は異常なほど静かだ。

ここは2年生のフロアのハズだが…

皆下に逃げたのか?


『どこでもいいよっ!!近くのどっか!!!』


『あ、目の前!!理科室っ!!!』


中島が指差す方を見ると、≪理科室≫と書かれたプレートが吊されていた。

『よし…っ!!
てか開いてんのか!??』

『わっかんねぇー!!!
…開いてますよーうにっ!!!』

教室の前に辿り着くと、中島がドアに手をかけた。