「…真哉くん?」

「あっ。ごめん真綾。じゃあ行こうか」


さほど距離がないはずのアパートから河原までの道のりがとなりに真綾がいるからなのかとても長く感じた



202号室の前に着くと、真綾はケータイを取り出してアドレスと番号を教えてくれた


「じゃあね。今日はありがと。真哉くん」


そう言ってドアノブに手をかけた真綾



「ねえ!!」


突然、僕の口をついて出てきた言葉に驚いたけれど――


「明日も、また会えるかな」



言ってよかったと安心している僕がいる



真綾は驚いていたけれど笑いながら言ってくれた。


「もちろん。明日はきちんと真哉くんの曲、最後まで聞くんだから」


「よかった。じゃあまた明日」


「また明日ね。真哉くん」





――きちんとドアが閉まるのを確認してから僕は自分の部屋に戻った



1DKの部屋の中にある大きなベットの上に横たわる





いいじゃんそれ
―――私好きだよ
――――真哉くん?


 また明日ね。真哉くん






リピートさせるつもりはないのに頭の中を何度も真綾の声が流れていく…






「――ヤバいな。俺」








僕。瀬良崎真哉は

及川真綾に恋をしてしまいました