卒業式を終え、高校も無事合格。
四月になり、俺と友嘉は同じ学校に入学することになった。

 この学校では楽しくやっていけると思っていた矢先に嫌な情報が耳に入ってき
た。
中学校の時に友嘉をいじめていた奴等が同じ学校に入学していたという。
友嘉へのいじめは其処から本格的になっていった。

 朝、俺と友嘉が登校すると友嘉の上履きに画鋲が入っているのは当たり前。
次に教室に行くと机や椅子に落書きがされているのだ。
それがあった日は仕方なく職員室に新しい机や椅子を貰いに行くが、それが何度
も続くため、友嘉は更に周りから変な目で見られるようになっていった。

 これも全て友嘉をいじめている奴等のせいである。
でもやはり友嘉は弱音を吐かないでいる。
そんな友嘉にどう声を掛けたらいいのか、俺でさえ分からなくなっていった。

 そして、友嘉の心をずたずたにするような事件が起こった。
友嘉はクラスの男子に使われていない教室へ呼び出され、集団で性的暴行を受け
たのだった。
沢山の男達が餌に群がるようにして友嘉を弄び、まだ買ったばかりの新しい制服
を破いていた。
次にカッターを使って髪を切り刻み、友嘉の綺麗な髪はバラバラと床に落ちて
いった。

 俺が友嘉の許に駆け付けたときには既に遅く、友嘉は制服がぼろぼろで、長
かった髪は短くなった状態で床に倒れていた。
俺は急いで友嘉を抱き起こそうと友嘉の肩に手を触れたが、友嘉はそれを拒んで
俺から離れた。

『…友嘉?』
『…ごめん…今、触れられたくない…誰も、信じられない…』

 どうしてこんなにも男は醜いのだろう。
自分の欲求だけのためにこんなことをする。
俺の大事な彼女を玩具のように扱ったクラスの連中が許せなかった。

 そして、愛する彼女を守ることの出来なかった俺も醜く、最低な男だった。
せめてもの償いと思い、俺は友嘉の震える唇に自分の唇を重ねた。