ちなみに俺がこの光景を説明出来るのは慶嘉に霊力をつけてもらったおかげ
で幽体離脱が出来るようになった為、学校に来てこの光景を見て説明している
のである。

 家に戻ってくるとまた慶嘉が次のターゲットの事をメールに書いていた。

 ターゲットは彩織の彼氏の敬志と言う奴だそうだ。

 この時俺は友嘉を、彼女を殺されたという言葉が頭の中を過っていた。
大切な人を殺された恨み、今此処で果たしてやる。と考え、慶嘉に全てを託す
事にした。
慶嘉は俺の方を向いてにやっと笑い、凄い事を口にした。

「今までにない酷い殺し方にしてあげるよ、パパ。そうじゃないとパパの気持
ちは晴れないはず…」

 呪いをやっている慶嘉の姿を見るのは初めてだが、この時の慶嘉こそ今まで
にないような笑顔を見せ、呪うことを楽しんでいるようにも見えた。

 そして俺はまた学校に出掛ける事にした。
もうこの時間帯は放課後で生徒が校門から出てくる姿が見えた。
すると昇降口から泣きながら歩く彩織とそれを慰めている敬志の姿があった。

「何で香が死ななきゃいけないの?何で香が…ううっ…」
「打ち所が悪かったんだ…仕方ないだろ。何時までも泣いてたって香理が戻って
くるわけじゃないんだから、めそめそするなよ。」
「っ…敬志の馬鹿!どうしてわかってくれないのよ!じゃああんた、大事な誰か
が死んだらどうするのよ!?あたしが死んだらどうするのよ!?泣かずにいられ
る!?…敬志の馬鹿っ!!」
「おいっ!彩織待てよ!さ…」

 泣き喚きながら走りだした彩織を止めようとした敬志だったが、それが裏目に
出てしまったらしい。

「ぎゃああああ!!」
「…敬志?ひっ!!」

彩織の振り返った先に見たものは大トラックに頭を踏み潰され、ぐしゃぐしゃに
なった敬志の姿だった。

「いや…いや…いやあああ!敬志ぃ~!!」

パニック状態になった彩織は更に泣き喚き、敬志に近寄ろうとした。
次の瞬間、敬志の目玉が彩織の方へ二つ転がってきたのだ。
 彩織は目のない敬志に近付き、ぐしゃぐしゃになった敬志の事を抱き締めてい
た。

 慶嘉の言っていた今までにない酷い殺し方というのはこれの事だったのかと納
得すると俺は家に戻っていった。