─チーン



8階到着。

したのはいいんだけど、右見てもドア、左見てもドア。


いったいどっちが裕子さんの部屋なんだろう?



そんな私を見向きもせず涼くんは右に歩みを進めた。


慌てて涼くんを追いかけると突き当たりで急に涼くんが止まるもんだから勢い余って涼くんの背中に激突した。



「いたた‥」



ぶつけた鼻を擦っていると涼くんが人差し指を口元に当て「しーっ」と呟いた。



ここは涼くんに従って静かにしようと思い直すと一点を見つめる涼くん。

涼くんの視線の先を追ってみると‥



「らい‥もごっ‥」



蕾斗がいた。


思わず声を出しそうになったが涼くんのおかげで出さずに済んだようだ。