石川さんと社長さんが去ると、涼くんはさっきまで記者さん達がいた椅子に腰掛け、ご機嫌斜めな蕾斗も涼くんの方を向いて前の椅子にまたがるようにして腰掛けた。



「蕾斗さ〜大胆だよね‥」


蕾斗が座ると私も涼くんの隣に腰かけてみた。


するとなんだかムスッとした表情の蕾斗。



「あのさ、なに怒ってんの?」



私の代わりに言いたい事をズバッと言ってくれる涼くん。



「は?
怒ってねーし」



怒ってるしね‥

不貞腐れた蕾斗はなんだか子供みたいで‥



「ふはっ‥」



なんだか笑えた。



「てめぇ‥
何笑ってんだよ」



あちゃ‥
ますますご機嫌ナナメだ‥



「ね、蕾斗もしかしてさ。俺の隣に姫子ちゃんが座ってるから拗ねてんの?」



‥‥‥え?

そうなの?



「はっ?
そっ、そんなんじゃねーし」



耳まで真っ赤にして顔を背ける蕾斗。


まったく素直じゃないなぁ‥



「姫子‥?」



私は、席を立つと蕾斗の隣に腰かけた。

恥ずかしいから、涼くんの方は見ないで前を見てるんだけど‥



「ククッ‥蕾斗より姫子ちゃんのがよっぽど大人だねー」


「はっ//
なめんなし!俺のが大人っぽいわ!」



ムキになるとこがまた子供っぽい。



「素直に言えばいいのに。入って来るとき俺が姫子ちゃんと手を繋いでたから妬いてるって」


「えっ‥‥?
そうだったの?」


「んなっ/////
ちげーし!//

てか、涼!俺が気付いたの知っててわざと見せつけてきただろ!」



あ、あのあれはそういう事か‥



「別に?
蕾斗があまりにも可愛いから」



余裕な笑みで蕾斗を見下ろす涼くん。



「んな‥っ‥涼、てめっ」


「ククッ‥

じゃ、俺仕事だから。またな」



蕾斗の言葉を最後まで聞かずそう言い残すと涼くんは部屋を出ていった。