「‥‥と言うわけなので、すみません」



ったく、なんで私が蕾斗のために頭下げなきゃいけないのっ?



「ははっ‥全然いいよ
姫ちゃん、いつも悪いね」



嫌な顔1つ見せず、ニッコリ微笑む事の出来る石川さんは、ホントに凄いと思う。



「いえ‥。でも大変なんですね、“芸能人”って‥」


「ほとんどの撮影が朝からだからね」



蕾斗‥

アイツは芸能人だったりする。

その人気者の蕾斗は、私の幼なじみで‥



「ところで、その後親御さんから連絡は‥?」



私は苦笑しながら首をふり



「全然‥
ったく、子供を置いて夫婦で旅行なんていいご身分ですよね」



そう。

私があいつと同居することになった事の発端は、蕾斗の親と私の親が一緒に世界一周旅行とやらに行ってしまったから‥



「石川、行くぞ」


「行くぞってあなた何様デスカ?」


「んあ゛?」



うっ‥怖い‥



「いいんだよ、姫ちゃん
いつもの事だから」



可哀想な石川さん‥


けど、あの蕾斗の迫力には誰も逆らえないと思う。