「…ヒック……うう~…うえ~ん……ヒック…ヒック…」

ある真っ暗な部屋で一人の少女が泣いていた。

「…なんで…私…ばっかり…ヒック…こんな……めに、あうの……ヒック」

この少女は何年か前から心を閉ざしていた。

ーいつまで、心を閉ざして、自分を傷付けるつもりだ?ー

「えっ…グズ…だ、誰?」

―今は教えられない。……ところで、お前は心を開いてみたくはないか?―

「……開いて、みたい…ヒック…で、でも、私……人を、信じること…ヒック……が……できないの……あの時、みたいに…裏切られる……のが…ヒック…恐い…の……」

―それなら別の世界で頑張ってみないか?―

「……ヒック……そんなこと…できるの?」

ーああ、できる。しかし、お前が心を開くことを望まなければできない。―

「…行きたい……心を開いて、みたい……頑張って、みたい……」

―わかった。心が開いたらこっちの世界に戻すが、いいな?―

『うん…』

ーでは…ー

そして、少女は光に包まれ、その場から消えた。

これが、この少女の始めの一歩……