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「母さん、父さんの部屋の片付けはそれくらいにして、ご飯食べなくちゃ。」


息子が私を呼びに来た。
あなたが亡くなって、あなたの部屋を片付けているうちに、私はあなたとの思い出に浸っていたようです。

「笑ってるの? 母さん」

「ええ、ねぇ、お父さんは一度だってあなたに嘘をついたことがあった?」

「ないよ、凄く正直な人だったじゃないか。父さんは」

「そうね、でも、あの人最後に嘘を吐いたわ。《また》って初めて言ってくれた次の日に亡くなるなんて、ちょっと笑っちゃうわよね。」

笑いながら私が言うと、息子も、微笑んで私に返しました。

「いや、きっと父さんは、わかってたから《また》って言ったのさ。きっと、母さんと生まれ変わってももう一度会うつもりで、言ったんだと思うよ。そうすればきっと、嘘にはならないしね」

息子の言葉を聞いて、私は黙り込んでしまいました。

息子は気を利かせて部屋を出て行ってくれて、私は最後に、あなたの遺影に向けて、微笑みかけました。