道場からは何も物音がしなかった。 広瀬先輩、何してるのかな? 道場の戸を開けた。 中はオレンジ色の陽の光でいっぱいだった。 そんな中に一人、的のほうをじっと見つめている人がいた。 逆光でよく顔が見えない。 でも身長からして、男。 「広瀬先輩・・・?」 私が恐る恐る呼んでみると、その人は私のほうを向いた。 広瀬先輩じゃ、ない。