我慢してたのに、練習が終わるとまた五十嵐先輩の周りには人だかりができる。

わぁぁん!! 先輩達ずるいよぉ・・・・
さっきも話してたじゃん・・・



「人気すぎるね、先輩・・・」


「むー・・・」



私が恨めしそうにその光景を見ていると
五十嵐先輩が中心から抜けた。

先輩達は「えー、帰っちゃうのぉ?」と甘ったるい声を出す。

五十嵐先輩は嫌な顔ひとつせずに手を振って道場を出て行った。



また心臓がズキンと痛んだ。




1回も目が合わなかった。




「だっ・・・大丈夫だよ、柚!今日はまだ初日だしっ!まだまだこれから会えるじゃん!!」


「うん・・・ありがとー、京子」



そう。これからも会えるって保障はちゃんとある。


でも





今日話せなかったのが、何故か悲しいよ。