「…………うざってえ」


不意に男はそう呟き、燻らせていた煙草を下水道に落とした。

ついでに、まだ殆んど残っている煙草の箱を握り潰し、先程の煙草と同じ運命を辿らせた。


好んで吸っていたのではなく、口元が寂しかっただけだったらしい。



闇に紛れ解らなかったが、声で男が若い、というより幼いのに気付く。


老いた雰囲気を纏っているが、実際はまだ二十歳に満たない青年だった。






青年。


名は座敷 幸福(ざしきさちふく)。