寂れて閑散とした夜の商店街。

灯りといえば、今にも消えそうなネオンや、一部分しか照らさない路灯のみ。


過疎化に負け、終末まで、もうそんなに時間はかからないであろうと思われる廃墟である。


路はあるが、人の気が全くなかった。



…否、一人、いた。



色褪せた薄手のコートを羽織った男が、煙草を燻らせながら歩いていた。


少々矮小な肉付きな為か、実の身長よりも低く見える。



何を思うでもなく、目的地がある訳でもなく、ただ歩いている。そんな印象を受ける。