世界は絶えず進み続ける。

時間は止まらないのだ。崩壊が目前に迫っているとしても、止まらない。止められる者は、誰もいない。


テレビでは「黒船」の復旧作業が終了した、と報道されていた。
結局、原因は不明。何が起こっていたかを知る者は無い。

新型のコンピューター・ウィルスが感染した、というのが専らの専門家の予想。座敷家の限界、という、今まで座敷機関に押し潰されていた組織は、そう豪語してやまなかった。


世界は日常を取り戻しつつあった。異常が霞み、最早、風前の灯。


しかし、それは平和とは何ら関係無い。平和とは、偽装だ。偽装で、偽造。阿片をばら蒔かれた中国に等しい。危うい均衡を、危うい力で覆っている。



それでもまだ、表の世界は半ば強制的に生き返り、元ある世界に戻りつつある。


まだ、ましというもの。