ゴーストオブアイデンティティー

その下手さ故に友達が殆んど出来なくて、今では儚位しか覚えていない。

そんなどうしようもなく社会不適応者な私が出逢って間もない運命との絆を紡ぐには、どうすれば良いだろう?

如何にすれば彼女と私の間に架け橋を渡す事が出来るだろう?
……
………そうだ。


「私はちょっとばかり、昔話をしようと思う」


ちょっとばかりの、昔話。ほんの少し前の、色褪せた思い出を運命に話そう。

桜は、心の中で頷いた。話が下手。ならば思い出を話せば良い。下手くそなりに毎回毎回会話を紡ぎ出すより、桜の中に埋もれている儚との思い出を掘り返して、埃を払って運命に聞かせてあげよう。

きっと運命もそれが良いに違いない。新しいモノが全て良いとは限らない。古いモノの中にも磨けば輝いて、どの様な新品よりも綺麗なモノが必ずあるはずだから。