起きて、冷蔵されている栄養剤を飲む。恐らく服用目安が1日一本であろうこの栄養剤を、既に桐は半日で5本は消費していた。鼻血が出ないか少し心配でもある。

ふと思い付いた。


「ねぇ、ムト」

『なんですか?』

直ぐ様ムトは反応する。


「何か話、してくれない?」

『話、とは?』

「なんでもいいのよ。物語でも幸福の事でもあなたの事でも。何か話、してほしい」


『……私は子守りか何かですか?』

「違う?私にはあなたが幸福の子守り役に見えて仕方ないわよ?」



『………言い得て妙…というやつですか』

桐はムトが笑った気がした。

ただ、そんな気がした。