目を開ける。少女が、桐の頬に触れていた。

温かみのある手。桐はされるがままでいた。

何か満足したのか、触れる手を引いた。その時、桐は少女と目が合った。


「あなた、誰?もしかして、座敷家の人?」


また、聞いてみる。無駄だろうと思いながら。
でもしかし、

「ビクリ」と

桐が驚く程、少女は反応を示した。


そして、少女は口を開いた。

    ・
「お前…何?」

小さく、綺麗な声だった。

歌とはまた違った旋律を奏でるような、透く声。



誰、でなく、何。違和感を覚えたが、桐は無視した。


「私?私は、桐。倉崎桐」


「キリ?」

「そう、桐。あなたは?あなたは…何?」


少女に合わせ、桐は再度質問した。